挑戦し続けることが新たな道を拓くフェイスにおけるキャリアパス

D2C事業本部で『音楽回想法®』サービス運用、『Fans’』のPR担当のほか、一般社団法人臨床音楽協会の理事を兼務。キャリア採用での入社時には上場準備に携わり、管理部門と事業部門を行き来し、多岐にわたって業務領域を変遷させながら新たな挑戦を続けてきた道筋の中に、フェイスにおけるキャリアパスを探る。

- 株式会社フェイス
D2C事業本部
D2Cソリューション事業ユニット - S.Nakatsukasa
- 2001年 中途入社

20代に経験した仕事の数々が
今の自分の軸となっている
高校卒業後に留学をし、アメリカ・マサチューセッツ州の私立大学を卒業後に帰国、国内の大学の法学部に編入し法律を学びました。フェイスに入社するまでは、何の職業が一番自分に適しているのか、自分が貢献できる分野は何かを探す旅のように(良いように解釈すればですが 笑)、外資系企業の室長秘書、ブライダルメーカーの中国縫製工場新規開拓・現地での縫製指導・香港での代理店設営、バイヤー等、さまざまな職業に就いた後、前職では日系電機メーカーで半導体に関する契約書の作成などに従事していました。その後、法務の経験をブラッシュアップできる環境を探していたところ、フェイスが上場準備室の法務社員を募集しているのが目に留まりました。当時のフェイスの企業規模は、従業員30名程度でしたが独自の音源技術をもっていて成長の勢いもありましたので、きっとこれから面白いことを展開していきそうな会社だと感じ、その成長に自分も携わっていけたらとの想いから2001年7月に入社しました。翌々月の9月にジャスダック、翌年には東証1部上場、そしてアメリカ西海岸の子会社Faith West Inc.(当時)の設立準備など、当時は法務社員が私一人でしたので、目まぐるしい日々でしたが、とても充実していました。入社して5ヵ月で昇格したのはその当時社内で最短であると聞いたときは、それまでのハードな業務のつらさは吹っ飛び、モチベーションにつながりました。
2006年5月には、社内で女性向けのサービスを立ち上げると聞き、挑戦してみようと自ら手を挙げ、事業部門に異動しました。健康・美容系のiモード公式サイトの企画・運営やローズウォーターの商品開発に携わった後、医療機関向けベッドサイド端末の企画・販売を担当しました。振り返ってみると、20代前半に携わった中国の新規工場開拓や香港代理店設営は、その会社に担当が私しかいなくて、当時はインターネット環境も整っていませんでしたのでJETROに足を運んで調べ、中国現地と交渉するための契約書を自分で作成していました。この試行錯誤しながら一から道を創っていった経験が、新規事業の立ち上げや新しい環境へチャレンジする自分の軸になっていると感じます。

フレキシビリティな環境で
多職種経験と多角的な視野をもつ
私は3年スパンで新しいことに挑戦したくなる性分のようです(笑)。事業の面白さを感じながらも、また次のステップに進みたいと考えていた時に、内部監査室の前任者が退職したため、後任候補として声をかけていただき、2011年12月に異動となりました。当時は国内外で大手企業における不祥事が明るみに出る中、コーポレートガバナンス(企業統治)に関する議論が活発化していた頃で、当社も上場企業としてグループ会社含めガバナンス体制をさらに強化していくタイミングでもありました。とても重要なポジションであるため気を引き締めて業務にあたりました。内部監査というと全く異なる分野であるように感じると思いますが、管理部門と事業部門を行き来したことでとても役に立ったことがあります。それは、内部統制の整備、たとえば見積書、発注書の承認や稟議申請など社内の業務プロセスにおいてミスや不正リスクをマネジメントするために整備していくのですが、事業部にいたからこそ異なった角度から物事をとらえることができたという点です。社内の実態を把握しているということは、どこを整備すれば良いかがわかりますので、これまで自分が経験したことがこのように次につながっていくのかと、自分の中での新たな発見がありました。
私は重箱の隅をつつくように細かいところを見る性格なので(笑)、内部監査室の仕事を極めていくのも良いのではないかと考えていました。しかし、そのタイミングで海外事業担当としての打診を受けました。チャレンジしたい気持ちもありましたが、20代の中国出張中に現地で大きな交通事故に遭遇したことが踏み出すことを躊躇させました。そして悩んだ結果、海外ではなく国内の新規事業の企画を手掛けることにしました。それが現在のサービス『音楽回想法®』であり、2016年のことです。
音楽医療
事業ドメインの拡大を意図した『音楽回想法®』サービス
その年の事業ビジョンにあった「音楽・教育・医療」のキーワードを手がかりに「音楽療法」について調べました。そうするとすでに海外では、医療における音楽の活用事例が医学論文の中に多数見られ、強い関心を持ちました。一方、日本ではその当時、まだそのような事例は少なく音楽業界においても医療分野での音楽活用の動向は見られませんでした。これまで医療・ヘルスケア関連の事業立ち上げに携わってきた経験からも、とてもハードルが高い領域であることは理解した上で、音楽をエンタテインメントだけでなく、医療・ヘルスケア分野にも活用できないかと考え、企画立案に至りました。
現在も音楽療法を実施している医療機関は少ないのですが、2009年頃から認知症に対する脳神経内科外来音楽療法を行っている医療機関を訪問し、そこで臨床音楽士である飯塚三枝子先生が医師とともに認知症の方を対象に音楽療法を実施されていることを知りました。そこでの音楽療法は、飯塚先生のピアノの伴奏に合わせて患者さんが歌ったり、リズムを取って体を動かしたり、音楽療法室にある楽器を演奏してもらったりします。病院に許可をいただき同席させていただいたときのことを今でも鮮明に覚えています。それは、待合室でご家族からの問いかけに反応が無く、発語も見られない患者さんが、ピアノの伴奏がはじまると、体を少し揺らしながら目の表情がやわらかくなってきたのです。そして簡単な発語も見受けられました。また、別の患者さんは伴奏で何の曲であるかを認識したのか、そらで歌いはじめました。このことは私の「音楽療法」に対する認識を大きく変えました。そして認知症を正しく理解することが大切であることを同時に感じました。認知症になると歌うことすらできないのではないかと思っていたからです。音楽療法は、対象者への反応効果のみならず、患者さんの表情が和らぎ、発語などがあるとセッションに同席されたご家族の喜びになり、そしてご家族の笑顔につながることを実感いたしました。
このように音楽療法を受ける前と受けた後の変化を体験されたご家族より、「自宅に戻ったあとでも音楽療法ができないか」という要望があり、このようなノウハウがあるのであれば、医療機関の垣根を越えて多くの方々に利用していただける方法はないであろうかと考えました。そして、認知症に対する音楽療法を実施している医療機関はまだ多くないため、遠方からの通院が困難な方や、通院後に自宅でも継続して音楽療法が実施できる有効なサポートツールを提供したいという想いから、医療機関と共同でiOSアプリ「音楽回想法®」を開発し、2018年9月よりサービスを開始しました。
本サービスは基本的にB2C(個人向けサービス)を中心に展開していますが、現在は軽度認知障害(MCI)の非薬物療法のツールの1つとして試験的に院内活用いただいています。また、理学療法士、作業療法士によるリハビリプログラムとしての利用や、ターミナルケアの患者さんにご利用いただいています。
本サービスはQOLの向上に役立つだけでなく、懐かしい曲を聴いたり歌ったりしながら、その曲にまつわる思い出話に花を咲かせるなどコミュニケーションツールとしても有用であると考えています。この「音楽回想法」アプリで、音楽療法全般が行えるとは思ってはおりませんし、個別性の高い音楽を網羅できているわけでもありませんが、心のよりどころとなる音楽で思い出を再生し、さまざまな感情の変化、生きている充実感などを少しでも感じ取っていただけたらと思います。そしてそれが生きがいとなり、ご家族の笑顔につながりますように願っています。

「信頼」によってすべては成り立つ
チームワーク、そして企業理念の体現
私が仕事、プライベートともに最も大切にしていることは、信頼関係の構築です。『音楽回想法®』のプロジェクトを成し遂げられたのは、プロジェクトのチーム力にありました。チーム力を高めるには、日頃のコミュニケーションがとても重要だと考えていて、メンバー間の信頼関係が構築されると活発な意見交換がしやすい環境が醸成されます。そして、プロジェクトの目的を明確に示すことで、認知症の方とそのご家族にたくさんの笑顔を届けたいというメンバー一人ひとりの強い思いがチーム全体のモチベーションを高め、同じゴールに向かって、チーム力が発揮される状況が作れたと思っています。
フェイス・グループの行動指針には、「創造」、「挑戦」、「協力」、「信頼」そして「中立」がありますが、これらの根底にあるのは「信頼」だと考えます。当社とステークホルダー、上司と部下、従業員同士、すべての関係性は信頼を礎に協力がうまれ、協力がうまれると組織が一つにまとまります。そのような組織下ではチャレンジ精神によりイノベーションを創出しやすい環境を醸成します。このように信頼からすべてが繋がって、当社の企業理念「あるものを追うな、ないものを創れ」の体現になると考えています。
早いもので今年の7月で入社20年となりますが、長く勤続できたのは様々なことにチャレンジできるフレキシビリティな環境であったことが、最大の理由だと思っています。自らチャレンジの意思を示せば、失敗してもまた次のチャンスをもらえる、社員が成長できる環境だと実感しています。
これからもこのVUCA(ブーカ)時代に対応していくフェイスとともに自分自身も進化させていきたいと思います。そして、『笑顔あふれる心豊かなライフスタイルを全てのひとへ。』届けられるよう、さまざまなことに挑戦し続けたいと思います。
フェイス・グループ行動指針
- CREATE / 創造
- 社会を豊かにする独創的なアイデア。
- CHALLENGE / 挑戦
- 新しいことにスピード感をもって取り組むチャレンジ精神。
- COLLABORATE / 協力
- グループ内外のさまざまなパートナーとの協力・協業。
- FAITH / 信頼
- 人と人、企業と社会とのつながりを尊重する。
- NEUTRALITY / 中立
- 特定分野・業界にかたよらず、常に視野を広げる。